それがアクティブ・ラーニング


2015年6月1日「信濃国からこんにちは」から

▽7年に1回の善光寺のご開帳が
 昨日17:00で終了したと報道されました。いつもは閑散としているJR長野駅から善光寺までの参道が,このご開帳の期間ばかりは異常なまでの行列が見られたのには驚きます。まるで,新宿駅のような,連休やお盆正月に東京駅で新幹線を降りて在来線に乗り換える時のような,東京モノレールを降りた浜松町駅で在来線に乗り換えるときのような,ごった返した人だかりです。人を見に行ったような感じです。当学部から出張に出かける往路も復路も渋滞に巻き込まれます。普段は2~3分で通り抜けるところを15分も20分もかかります。スクランブル交差点に作り替えた箇所も数カ所あります。先回のご開帳では市民生活に支障が出たので,シャトルバスを運行して改善を図ったと言いますが,市民にとっては今回のご開帳も多少は市民生活に支障が出たようにも思えてなりません。

▽それでも何十万人なのか
 何百万人なのか,たくさんの人が御利益に預かったことと推察できます。あなたはご開帳に行きましたか? ご開帳に行った人は分かると思いますが,回向柱と呼ばれるところまでは行列を成します。待つこと2時間。テーマ・パークのようです。しかし,テーマ・パークと全く違う,驚くべき光景がそこに見られます。行列を作るところには係員はいません。ロープも張ってありません。最後尾だということを示すプラカードもありません。もちろん,「早くしろ」と騒ぐ人は一人もいませんし罵声も全く聞かれず静かです。それなのに,整然と列を作って並んでいます。全く乱れることはありません。実に見事です。そこに,日本人の素晴らしい倫理観を見ることができます。海外に行くと,そうではありません。整然と並ぶという文化を持っていない人にとってはそれが当たり前なのかもしれませんが,列を作らず先を急ぐ光景に出くわし,唖然とすることがあります。

▽海外に行くと日本人の素晴らしき倫理観を改めて痛感します。
 このような倫理観は,いつ育つのでしょうか?30歳,40歳になったら,自然と身に付くのでしょうか。40歳の誕生日の真夜中の0:00に?突然に身に付く?そうでないことは,海外の事例が証明しています。それでは,いつ倫理観を育てるのでしょうか。倫理観と言えばすぐに道徳の時間を思い浮かべますが,小学校と中学校の道徳の時間だけでしょうか?ご存じの通り,道徳の時間は週に1回です。それだけであの素晴らしい倫理観が育つのでしょうか?週に1回で?道徳の時間は補充,深化,統合の時間なので,すべての教育活動を通じて道徳教育を行うのです。だから,道徳教育は領域なのです。国語における道徳教育,社会における道徳教育,算数・数学における道徳教育.....があるのです。それじゃあ,算数・数学の授業の時に倫理観を育てていますか?算数・数学で道徳?あなたはあなたの担当の教科でしてますか?高校には道徳の時間はありません。じゃあ,高校はいつ倫理観を育てるのでしょうか。もう育ったんですか?小・中学校で週1回しか道徳の時間で倫理観を育ててないのに?

▽日本のあの素晴らしい倫理観,
 そう,係員が一人もいない,ロープも1本も張ってない,最後尾を示すプラカードも何もないところに,「早くしろ」と騒ぐ人が一人もおらず,罵声も不満も一言も聞かれず静かに,整然と自主的に列を作って待つ,その倫理観は一朝一夕にできあがるものではありません。幼少の頃から,幼小中高と一貫した倫理観を集団で示しながら継続して体験させてこそ,習得できるものです。週1回やったからといって,そう簡単に身に付くものではありません。道徳の時間だけでなく,特に高校は道徳の時間がないのですから,教科の授業の中で,倫理観の育成を意識的に繰り返して体得させてこそ,あの素晴らしい日本人の倫理観を育てることができます。教科の授業で倫理観を育てる,それがアクティブ・ラーニングです。ついでに言わせてもらえれば,教科の授業で倫理観を育てるとともに社会的能力を育てる,それがアクティブ・ラーニングです。